日本酒を語る上で「酵母」の存在は欠かせません。日本酒は米と水を混ぜ合わせた「もろみ」を発酵させることによってつくられますが、その発酵の役目をするのが「酵母」です。どんな酵母を使うかで酒の味や香りが異なり、それぞれに特徴のある日本酒ができあがります。
「新政」に使われる「きょうかい6号酵母」は、1930年に新政酒造5代目 佐藤卯三郎さんが発見し、「通称“新政酵母”」として新政酒造が全国的に知られるようになったきっかけとなりました。
酒づくりの酵母は、もともとその蔵に住みついている酵母菌を利用してつくられます。しかし明治期になると品質の安定と生産量を増やすために、酒づくりに必要な「もろみ酵母」の培養が始まりました。蔵に元からいる天然の酵母ではなく、大量生産のために培養した酵母で安定した酒づくりが行われるようになった時代に、「きょうかい6号酵母」が登場。新政酒造のもろみから抽出した酵母菌は低温耐性が高く、それまで日本醸造協会が頒布していたきょうかい1~5号酵母は、6号酵母の登場によって注文が途絶えて頒布中止に。新政酵母は現存する最古の酵母であり、新政酒造はその発祥蔵としても有名なのです。
8代目当主佐藤さんが生み出した「新政」ラインのひとつに「No.6シリーズ」があります。きょうかい6号酵母の魅力をダイレクトに伝えるための銘柄として誕生したこのシリーズは、「日本酒の生酒は品質保持のため寒い季節にしか出荷しない」という常識を超え、通年での販売を可能にしています。まさに、寒さに強いという6号酵母の特性を生かしてつくられた「酵母が主役の日本酒」です。
【No.6】シリーズの4本
R-type
「新政」の定番生酒「No.6」シリーズの中でも「Regular(通常版)」として気軽に飲めるのがこのR-type。生酛造りの特徴が酒の中にわかりやすく表れていて、生酒らしいうま味が強調されています。酸味のある淡麗旨口でキリッとして飲みやすく、改革後の「新政」を初めて飲むなら、まずはR-typeがおすすめ!
・精米歩合:麹米40%、掛米60%
・原料米:秋田県産酒造好適米 100%使用
・参考価格:4,280円〜5,600円程度
S-type
S-Typeは、「No.6」の代表作。R-type(通常盤)の一つ上にあたる「Superior(上級版)」として位置付けられています。銘柄の個性と日本酒としての完成度の両面を兼ね備えて構想されているので、ふくよかなのにキレがある不思議な味わい。「濃縮感とキレ」という対照的な味わいが飲み口の前半と後半で、同じ酒の中で存在する、飲み飽きることのない日本酒です。
・精米歩合:麹米40%、掛米50%
・原料米:秋田県産酒造好適米 100%使用
・参考価格:5,680円〜 7,430円程度
X-type
「No.6」シリーズの中での最上級モデル。「eXcellent(豪華版)」の立ち位置に相応しい格調高い仕上がりとなっています。使用している「6号酵母」の力強さを一番感じられるのがこのX-Typeであると蔵元もお墨付きの銘柄。麹米、掛米ともに精米歩合が30%と米を磨きこんでいるのも特徴。最初に少し微炭酸を感じて、その後一切の雑味なく、すっきりと喉を通っていく飲み心地は「洗練」という言葉がぴったりの日本酒です。
・精米歩合:30%(麹米、掛米ともに30%)
・原料米:秋田県産酒造好適米 100%使用
・参考価格:7,830円〜12,100円程度
A-type
「No.6」のA-typeは、限定流通商品。2018年6月5日に行われた全国の新政酒造特約店が集結する「ARAMASA Collection」で振舞われたものです。「新政」の頭文字をとったNo.6の「A-type」。木桶仕込みの日本酒のようで、原料米の美山錦ならではのエレガントな味わいが特徴的で、新政酒造銘柄にしてはシャープな味わいとのこと。全国の特約店のみで販売している限定商品なので、売り切れ御免!手に入ればラッキー!ですよ。
・精米歩合:66%(麹米、掛米ともに66%)
・原材料名:米(秋田県産)、米麹(秋田県産米)
・原料米:秋田県産 美山錦100%使用
・原料米収穫年:2017年
・参考価格:13,450円程度
【colors】シリーズの4本
各銘柄のラベルに使われている色がそのまま名称になっている「colors」シリーズ。使用している秋田県産米の「個性」を味わうためのシリーズで、火入れ(加熱処理)を施すことでさらに旨みを引き出しています。「新政」という酒を安定して味わうにはもってこいのスタンダードな銘柄です。