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そもそも和食器とは?
洋食器と和食器は「食べ物を盛る」という意味では同じ目的を持った道具です。しかし、違いもあります。
「日本の食事の仕方は食器を手に持って口まで運ぶ」というのが基本。ですので和食器は洋食器に比べて、軽量にできており、口に直接触ることがあるために、和食器は縁の部分が滑らかな質感になっているものも多いのです。
一方、洋食器の場合はテーブルの上に置かれたまま使うので重たいものも多く、また食器は一式全て同じ質感・デザインのものをとり揃えるのが基本です。フレンチやイタリアンなどのコース料理を思い出してみると、わかりやすいかもしれません。これまであまり意識していなかったかもしれませんが、和食器には洋食器にはないさまざまな特徴があり、それが大きな魅力にもなっているのです。
和食器の個性と特徴を知りたい!
日本の国土は南北に細長く伸び森林と山々に囲まれていて、各地域によって風土や自然環境に違いがあります。個性的な焼物や工芸品の原料となる土や木といった素材は種類が多彩にあります。他国に比べて焼物や工芸品の種類が非常に多いのはそのためです。同時に、丁寧な手仕事に支えられた職人仕事が繊細な器・道具作りを支えてきました。和食器の魅力はバリエーション
和食器の魅力は、まず「バリエーションが豊かである」ということでしょう。素地そのものに、多彩な色あいがあり、黒、グレー、深緑、紺などの暗色系統や、白、褐色、赤みを帯びた明るい色のものまで、とても幅が広いのが特徴です。また、素地の土にかける釉薬(うわぐすり)の違いによっても、模様や器の表情に違いが出ます。刷毛で線をひいたようなデザインや、ろくろの手の跡が残るもの、焼く間に釉薬が垂れて独特の景色を生むこともあります。さらに、窯の中で火が当たった場所だけが予想外の色や模様になったりします。偶然によって生まれるデザインを楽しむことができるのも和食器ならではでしょう。経年変化も魅力的の一つです。「貫入(かんにゅう)」といって熱いものを入れた時陶磁器に細かいヒビが入り模様が変化していく状態を、あじわいある景色として愛でたり。使った時間によって器も一緒に変化していくなんて、持ち主の愛着がわかないはずがないですよね。
和の焼物には磁器と陶器がある
種類が豊富で選ぶ楽しみの幅が広い和食器。コーディネートができるということは、自身の美意識やセンスを表現できる道具でもあるということでしょう。日本の焼物には、磁器と陶器があり、それぞれ手触りや堅さが違います。磁器
ツルっとしていて滑らかな手触りで重たい作りの器。石英や長石を砕いた陶石を粘土とを混ぜて1300度前後の高温で焼き締めます。硬くて丈夫で傷がつきににく、ガラス質の滑らかな素地を指ではじくと、金属的な音がします。硬度が高いため薄手に作ることが可能で、絵付けや金彩が施されている絵皿やカップも少なくありません。●主な産地:有田や波佐見、砥部
陶器
「土もの」とも呼ばれます。土にガラスの原材料にもなる珪石(けいせき)や長石を混ぜて800~1250度で焼きます。ザラザラした質感、ぼってりと柔らかいもの、細かな粒子の地のものがあります。手にとっても熱くなりにくく冷めにくいのが特徴です!質感の粗い器は有色の粘土を主原料としていることが多く、焼き上がりの色のバリエーションも豊富です。
●主な産地:瀬戸、美濃、信楽、備前