鉄フライパンの使い始めは?正しい使い方を紹介
鉄フライパンを使い始めるときの「空焼き」
ほとんどの鉄フライパンは、出荷する際にさびないように防さび加工がされています。しかし、この防さび加工は店頭に並べている間にさびないようにするためのものであって、購入した鉄フライパンを使い始めるときには、この防さび加工を取り除く必要があります。これが「空焼き」と呼ばれる作業です。空焼きの手順
1. 台所用の中性洗剤とスポンジを使って、鉄フライパンの表面に付いたホコリなど汚れを洗います。その後、しっかりと水で流してキッチンペーパーなどで水分を拭き取ります。2. ガスコンロに鉄フライパンをのせて、中火で加熱します。鉄フライパンが熱くなってきたら強火にします。(この際、最初から強火で加熱すると、鉄フライパンが変形する可能性があります。また防さび加工に使われている塗装が、温められることで気化するので換気をしながら作業しましょう)
3. 鉄フライパンが、変色するまで焼き入れをします。最初は中央部から色が変わってきます。その後、底面全体から側面までまんべんなく火にかけ続けます。
4. ガスコンロの上で、そのまま冷まします。(水をかけて冷やすのは危険です。熱くなったフライパンで水が熱湯となって飛び散る危険性があります。また変形の原因にもなります。)
5. 鉄フライパンが、十分に冷めたら、もう一度台所用の中性洗剤とスポンジを使ってよく洗います。その後、水で洗い流したらしっかりと水気を拭き取ります。
油ならしの手順
6. 「空焼き」が終わった鉄フライパンに、底全体に行きわたるぐらいのサラダ油を注ぎ入れ、中火で加熱していきます。加熱する際には、鉄フライパンを動かして、内側表面全体に油が広がるようにします。鉄フライパンを動かしてもうまく油が回らない時には、キッチンペーパーを使って全体に塗り込むようにします。ただし火傷には十分に注意してください。7. 薄い煙が出てきたら、再びサラダ油を加えて加熱します。この作業を7~8回繰り返します。
8. これで鉄フライパンの表面に、厚い油の膜を作ることができ、焦げ付かなくなります。
9. 最後にくず野菜を入れて炒めれば、鉄臭さを取り除くことができます。
この作業は、キャンプなどアウトドアでの調理で利用されるダッチオーブンやスキレットで行うシーズニングと同じ作業です。
鉄フライパンの使い方
鉄フライパンで調理をする際には、中火で底全体を十分に加熱します。薄い煙が上がったら油を注ぎ底全体にまわしてなじませます。それでも焦げる!焦げ付きの原因は?
これまで紹介した鉄フライパンを使い始める時のポイントを押えて使えば、基本的には焦げ付くことなく調理することができますが、それでも焦げ付く場合には次の原因が考えられます。調理する時の油の量が足りない
今まで、テフロン加工などコーティングされたフライパンを使っていて、初めて鉄フライパンを使う人は、油を控えめにしてしまう傾向がありますが、油が足りないと焦げ付く原因になります。鉄フライパンを加熱して、油をなじませる時にはたっぷりの油を使いましょう。なじませて余った油は、オイルポットなどに戻すと料理が油っこくなり過ぎることはありません。フライパンと油の温度が低過ぎる
焦げ付くのが不安で、火力を抑えすぎるとかえって焦げ付く原因となります。鉄フライパンを使って調理する前には、底全体と油を十分に加熱しましょう。フライパンと油の温度が高過ぎる
反対に火が強すぎても焦げ付く原因となります。鉄は熱伝導率が高く熱が伝わりやすいため、強火過ぎると底の中心部が急激に熱くなり、食材を焼き過ぎる原因となるので、丁度よい火加減で調理しましょう。どうしても焦げ付いてしまう鉄フライパンのお手入れ方法
しっかりと加熱して十分に油を使っているのに、いつも同じ所が焦げ付いてしまう、くっつく鉄フライパンは、その部分に焦げが残って付着している可能性があります。そうすると周囲との温度のムラができて焦げ付きやすくなります。このような場合には、しっかりと焦げ付きや汚れを落とす必要があります。鉄フライパンは、傷に強いため金属製のたわしやナイロンたわしを使って、焦げや汚れの部分をゴシゴシと磨いて落としていきます。取れない場合には、研磨剤が入ったクレンザーを使うと効果的です。焦げや汚れが完全に落ちたら、使い始めに行った油ならしを再度行って、磨いた部分にも油の膜を作ります。また、使用後の洗い方や保管のしかたが悪くてさびが出てしまった場合にも、同じように金属製のたわしやナイロンたわしを使ってさびを磨いて落とします。鉄フライパンだけじゃない!フライパンの種類
フライパンの素材と特徴
フライパンには、鉄フライパンだけでなく銅やアルミ、ステンレスなどの素材のものがあります。素材によって、それぞれ特徴が異なるので、ちょっとここでその素材の特徴をご紹介します。ステンレス
ステンレス製のフライパンは、さびや汚れに強く、丈夫なのが特徴です。傷にも強いので、もし食材が焦げ付いたときには金だわしを使用することもできます。ステンレス製のフライパンは熱伝導率が低い素材のため、温まるまで時間がかかりますが、一度熱すると冷めにくい性質を持っているので、余熱を使って食材にじっくりと火を通すような料理に向いています。鉄
鉄製のフライパンは、高温に強いので中華料理や炒め物料理など強い火力が必要な料理に向いています。ややさびが出やすいですが、丈夫でしっかりと手入れをすると長く使えるので、プロの料理人も愛用しています。アルミ
アルミ製のフライパンの特徴は、軽いことです。見た目がおしゃれで軽くて扱いやすいため、女性におすすめのフライパンです。またアルミは、熱伝導率が高いため火にかけるとすぐにフライパンが温まり、弱火でも十分に調理ができます。しかし高温により変形しやすいので、中華料理など強火が必要な料理には向かないことや、食材がくっつきやすいなどのデメリットもあります。チタン
チタン製のフライパンは、耐食性に優れさびの心配が少なく、強度があり傷や落下などによる衝撃にも強いのが特徴です。また、アルミ同じぐらい軽いため手軽に扱うことができます。しかし熱伝導率はあまり良くないので、温まりにくいというデメリットもあります。銅
銅製のフライパンは、熱伝導率の高いので熱がすばやく、ムラなく伝わります。つまり火力がダイレクトに食材に伝わるので温度調整がしやすいのが特徴です。また銅はさびにくく、抗菌作用があると言われています。デメリットとしては、長く使っていると底麺が変形する可能性があることと、酸の強い食材を使うと銅が溶けだしてしまうことがあるため、酸味のある食材は調理をさけたほうが無難である点です。一目で分かる!フライパンの素材比較
重 さ | 熱伝導率 | 丈夫さ |
手入れの しやすさ |
価格 |
特徴 |
|
ステンレス | 重い | 悪い | 強い | 簡単 | 高い | 手入れが簡単で丈夫 |
鉄 | 重い | 良い | 普通 | 大変 | 安い | 強い火力が必要な料理におすすめ |
アルミ | 軽い | 良い | 弱い | 簡単 | 安い | 軽くておしゃれ |
チタン | 軽い | 悪い | 強い | 簡単 | 高い | 主に業務用で高価なものが多い |
銅 | 重い | 良い | 弱い | 大変 | かなり高い | さびに強いが変形しやすい |
コーティング(表面加工)
フライパンには、素材の金属の表面を別の素材でコーティングしたものがあります。代表的なのがテフロン加工やマーブルコート加工、ダイヤモンドコート加工、セラミック加工などで、コーティングによって、焦げ付きが少なく汚れが落ちやすいので、お手入れが簡単なのが特徴です。しかし、コーティングの強度に差はありますが、いずれの加工も使用を重ねることでコーティングが剥がれたり劣化するため、長く使い続けることは難しく、数年ごとには買い替えが必要となります。鉄フライパンで本格パエリアを作ってみよう
鉄フライパンを使って調理すれば、さまざまな料理ができますが人気なのがパエリア。普通、パエリアを調理する際にはパエリア鍋(パエリアパン)を使いますが、鉄フライパンを使っても美味しく調理することができます。シーフードパエリアの簡単なレシピをご紹介しますね。フライパンで作るシーフードパエリア
フライパンでオリーブオイルとにんにくを炒め、香りが立ったらエビを軽く焼き目がつく位焼き、お皿に取り出します。オリーブオイルを足し、玉ねぎをしんなりするまで炒めお米を加えお米にツヤが出るまで炒めます。あさりやエビ、シーフードミックスなどとトマト缶を加えふたをして15分ほど加熱。ふたを外して水分を飛ばしたら完成。