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「せっかく食べるのであればおいしく、お腹も気持ちも満たされるお米を選びたい」、「心と体が喜ぶ本当においしいお米に出会いたい」。
おいしいお米を食卓で楽しむため、東京・府中市で200年続くお米屋さんに、お米を取り巻く現代の環境やくらしが豊かになるお米との出会い方についてうかがいました。
代々続く地域のお米屋さん「天地米店」の小澤さん。

お米を取り巻く現代社会と変化する環境

小澤さん「お米の販売価格は30年前からずっと変わっていません。しかし今は食べる人が減ってしまいそもそもお米が売れない時代になってしまいました。生産農家は良いものを作りたくても立ち行かない状況になっています。一般的にお米は10kgや5kgと一度にまとめて購入しますよね。この値段が高いと感じるという人がいますが、お茶碗1杯分の値段にするとほんの20~40円程度。コンビニではそれより高いお菓子や飲料を平気で買うのに、不思議とお米は高いと感じてしまうんです」
また、最近ではお米の消費量が激減している一方で、健康のことを考えて「玄米を食事に取り入れる」という人も増えてきてはいます。小澤さんもお米を販売しながら、特に小さい子どもがいる家庭で玄米を買っていく方が多いように感じていると話されていました。このような話を聞くと、昔の日本人が当たり前に食べていたお米が、心なしか今は健康のために食べる「特別なもの」のようにも感じてきました。
自分に合う味を見つける。お米の個性と人の個性

小澤さん「毎日が忙しくて時間に余裕がなくなると、”食事を簡単に済ませてしまおう”という気持ちになるのは仕方がないところもありますが、玄米がおいしくない、あるいはお米がおいしくないと感じているようであれば、そのお米が”合ってない”のだと思います」
お米が合っていないというのは、どういうことでしょう?小澤さん「人にそれぞれ個性があるように、お米にも個性があります。みんな違うんです。おいしいと評判の品種や一緒に住んでいる家族がおいしく食べていても、自分には好みが合わないということはあるんですよ」
自分の好みに合うお米に出会うためには、気軽にいろいろな種類のお米を試してみてほしいと小澤さんは言います。いろいろな品種を試すことで好みのお米を見つけて、そのお米を好きな炊き加減で食べること。その過程を”自分で発見して楽しむことが大切”なのだと話してくださいました。
情報が溢れる現代だからこそ自分で感じ、選ぶ

小澤さん「お米は産地と品種が同じでも、同じ味のものは取れません。また、その年の気候などさまざまな要因によって、たとえ生産農家が同じであっても同じ味のお米を再現するのは難しい。お米は年によって出来も違いますし、現代は田んぼを取り巻く環境も年々変化していて、同じ場所でも同じお米が取れるとは限らないんです」
小澤さん「旅先で、米どころなのにお米がおいしくないというケースがあるのはそのためです。さらにはどんなにおいしいお米だと言われていても、おいしいと感じる人もいればおいしくないと感じる人もいます。一人ひとり好みが違うので、その感じ方が違うのは当然です」
だからこそ「おいしいお米はどれ?」と聞かれても答えるのは難しいのだそう。好きな味のお米に出会うためにはやはり品種や地域にこだわらず、そして先入観を持たずにいろいろなお米を食べてみることが一番!人の意見に左右されずに、自分が食べておいしいと思う感覚を大事にすることが何よりなのです。
小澤さん「いろいろな情報が入ってくること自体は良いことだと思います。大切なのは、そこから何を選ぶのかということ。例えば、玄米は昔から食べられてきたものなのでもちろん体に良いですが、健康のために一番良いのは玄米でも白米でも、とにかくよく噛むこと。何を食べるかということも大事だけれど、本当はもっと根本的に見直した方が良いことはたくさんあります。大切なことは自分で考えることこそが重要で、そのために自ら体験してみることが必要なんです」
お米だけでなく思い込みや先入観は何に対しても少なからず持っているもの。特に現代は情報がたくさん入ってくるからこそ、見極めて選ぶということが大切なんですね。お米をおいしく食べるための「楽しむ」という視点

しかも、2種類の玄米のうち1つは冷凍ご飯を解凍したもの。まるで今朝炊いたお米と同じような味わいで、その秘訣をうかがうと、実はおいしく解凍ができる「陶珍」という専用の道具を使ったそう。

ご飯茶碗一杯に詰まった「豊かなくらし」のエッセンス

人が一人ひとり違うようにお米も、そしてそれを炊く道具もそれぞれ違う個性を持っていて、その一つひとつに向き合うことが「こだわり」だと小澤さんは言います。品種・地域・生産者・精米の方法・炊き方といろいろな視点があって、何を選んでも間違いではなく正解でもない。ただ、それらとどう付き合うか、どうしたらもっとおいしく食べられるか好奇心を持つこと、自分だけのおいしさにたどり着くその過程を楽しむことが、人生を豊かにするのだと教えてくださいました。
こだわりを持つことと、思い込みは似ているようで違います。これまでは「自分で出会う」という一番大切な過程を経ずに、簡単においしさだけを求めてしまっていたのかもしれません。楽しむことこそが、暮らしを豊かにする何よりのエッセンス。
今日はいつもより時間をかけてお米を炊いてみようかな…と思わず心がときめいてしまいました。
天地米店 小澤さんがおすすめするご飯をおいしく食べる道具たち
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