新潟の名産・村上鮭とは?塩引き鮭レシピから鮭料理のお店も紹介

新潟・村上の名産である村上鮭。その歴史や旬の時期、伝統的な料理方法について紹介します。「塩引き鮭」のアレンジレシピから、ランチも楽しめる「きっかわ」など村上鮭料理が食べられるお店もチェック。お土産にも最適な村上鮭を実食して味もレポート!


塩引き鮭
出典:flickr
「鮭のまち」として知られる新潟県村上市。12月になると各家庭でも鮭を吊るす「吊るし鮭」の光景が目に飛び込んでくるほど鮭文化が土地にしっかりと根付いた地域です。そんな村上の特産品「村上鮭」は、お取り寄せでも人気の高い名品。塩引きや酒びたしなど伝統的な製法でつくられる鮭料理は、そのまま食べてもアレンジしても絶品で、日本酒の肴にもぴったり!村上鮭の歴史、旬、料理方法について、そして伝統的な保存食である酒びたしの食べ方やアレンジ、村上鮭が食べられる現地の料亭、都内のレストランなど鮭づくしの内容でお届けします!

村上鮭とは?

三面川
出典:flickr
村上鮭とは、新潟県村上市を流れる三面川(みおもてがわ)で獲れる鮭のことを言います。
江戸時代より村上藩は、鮭を主な財源としていましたが、後期になるとその財源である鮭がだんだんと不漁になり村は困窮していきました。
そんなとき、藩の下級武士である青砥武平治(あおとぶへいじ)が、鮭は産卵のために再び故郷の川に戻るという「母川回帰性」の習性を発見。その性質を活かして、平治は三面川の中洲に鮭が産卵しやすい条件の「種川」を設け、自然のふ化増殖システムをつくり上げました。

また、鮭の稚魚が本流へかえる春先には、川での漁を一切禁じて鮭の子を保護する方法にも着手。平治の考えた、鮭の保護養殖のシステムによって漁獲量は飛躍的に伸び、村上藩の財政を支えたといわれます。このように村上地域は、鮭の「母川回帰性」の発見と保護養殖が初めて開発された場所であり、現代でも季節になると居繰網漁(いぐりあみりょう)という伝統的な漁獲方法の鮭漁も見ることができます。

村上地域に伝わる昔ながらの鮭料理・加工方法

鮭の切り身
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村上地域では毎年、鮭に感謝と敬意を込めて供養する「鮭魂祭」が行われるなど、独特の鮭文化が根付いているそうです。そのため、頭、内臓、骨、エラにいたるまで全ての部位で鮭を食べ尽くして敬います。それぞれの食べ方に昔ながらのレシピがあり、その種類はなんと100種類を超えるとも言われます。水揚げされた生鮭は、村上地域では「塩引き」「酒びたし」などの伝統的な料理方法で加工し、年中食べられるように工夫するのが習わしです。伝統的な鮭料理の代表メニューをいくつか紹介します。

村上鮭料理の代表・冬の風物詩「塩引き鮭」

秋に獲れる鮭を使ってつくる代表的な村上鮭料理。塩引き鮭は、鮭がまだ貴重なタンパク源だった時代、なんとか長期保存ができないかと先人が知恵を絞って編み出した製法だったようです。鮭の内臓を取り除き塩漬けにして干す「新巻鮭」とは一見似ていますがつくり方は違うようで、塩引き鮭は寝かせる・磨く・干すという工程を経て鮭が熟成しうま味が凝縮していきます
村上地域では、12月頃になると家々の軒先に塩引き鮭を干す「吊るし鮭」の光景が並ぶのも風物詩の一つ。独特の風味と塩加減が絶妙な塩引き鮭は、全国にファンが多いのも納得のおいしさだそう。原料は鮭と塩のみで、保存料・添加物は一切使わず鮭のうま味だけでできあがる村上伝統の味です。

高級名品・村上鮭の「酒びたし」

酒びたし
撮影:ばんしょうかおる
酒びたしは、塩引き鮭をおよそ半年の間、寒風にさらして乾し上げてスライスしたもの。村上地域では昔馴染みの保存食として親しまれてきた伝統的な製造方法です。酒びたしにする鮭は、産卵前の脂が少ないものの方が適しており、同じ干物でも塩引き鮭とは全く違ったうま味が楽しめます。
真冬の寒風にさらし、その後は初夏まで日陰干しでじっくり乾燥させていくので熟成後はうま味がより濃くなります。塩味がきいているので、珍味として酒の肴(さかな)にもぴったりな味。お酒をふりかけて鮭を柔らかく戻して食べると「より一層おいしくなる」ということで、この名前がついたそう。その年にできあがった初物は七夕祭で振る舞う習慣があるなど、伝統を色濃く映した名品です。

お正月の定番料理「鮭の飯寿司」

飯寿司は、魚とご飯を漬け込んで発酵させる「なれずし(熟寿司)」の一種です。村上地域ではお正月の味として親しまれ、各家庭でも季節になるとつくられています。昔から伝わる伝統の保存食ですが、たくさん食べるもの、というよりは珍味として日本酒などに合わせて少量いただくことの方が多いようです。薄く切った塩引き鮭、鮭の頭の軟骨である氷頭、にんじん、大根、ゆず、はらこ、数の子などを糀で仕込んで1カ月〜40日ほど重石をして寝かせます。食べると乳酸の酸っぱさとご飯の甘さを感じる飯寿司は、お取り寄せでも人気の伝統料理です。

夏の酒びたし、秋のはらこ、冬の塩引き…時期ごとに旬を楽しめる

はらこ
出典:写真AC
村上地域の鮭は夏の暑さが落ち着いてくる9月の彼岸頃から、産卵のために母川である三面川へ戻ってきます。この時期から大体11月下旬にかけて水揚げされる鮭が、生鮭としては旬です。塩引き鮭もこの期間に獲れる旬の鮭を使ってつくられています。
漁獲した鮭を塩引き鮭にする工程は、まずはエラ、腹、内臓を取り除き全体をきれいに洗います。その後、塩を擦り込み塩蔵し、寝かせた鮭を今度は塩抜きをして洗い、磨き上げて最後に乾燥させるとできあがりです。北西の風が強くなる12月頃から干し始め、12月上旬~中旬にできあがる新物が「塩引き鮭の旬」と言えるでしょう。それ以上干し続けると身が硬くなってしまうので、ちょうど良い硬さを保つために冷凍してしまうことが多いそう。未冷凍の初物を味わいたい時は、12月中に購入するのが良さそうです。

塩引き鮭をさらに半年間、寒風にさらして乾燥させた酒びたしは、初夏に初物ができるので旬の時期は七夕頃。はらこ(村上ではいくらのことをはらこと呼びます)はそのまま食べるので、生鮭が獲れる時期の9月〜11月頃の秋が旬です。

このように保存食として加工も行っているため、村上鮭は1年の中で何度も旬を味わうことができるのも魅力です。

 
→酒びたし・塩引き鮭の食べ方・アレンジレシピを紹介

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村上鮭
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番匠郁
番匠郁

ライター時々料理人

道産子と九州男児のハーフ。関西弁、大分弁、金沢弁を話すトライリンガル。
アーティスト山村幸則氏の作品制作に携わったことをきっかけに、働き方や住む場所に捉われない生き方を模索するようになる。
コミュニケーションアートを通してまちづくりに関わるなか、「人の集まる場所には食がある」ことに気がつき、以来、食を媒介した街・人・アートの仲立ちプロジェクトを幅広く展開。
役者として舞台に立ちながら開始した劇場ケータリング”劇場メシ”では、演者やスタッフを食で支える裏方の裏方として活動。生産現場にも足を運び、土を耕し自ら収穫して料理をつくる体育会系ライター。
動画作成チーム”ButterToast”ではシナリオも担当。

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