「熱燗」「ぬる燗」・・・温度で呼び名が変わる燗酒
温めることで引き出される香りや味わいを楽しむことができる日本酒。寒い季節の風物詩として楽しまれるホットワインやホットウイスキーとは異なり、風味づけしたりせず、温度帯のバリエーションで変化を楽しめる日本酒は、世界的にも珍しいタイプのお酒です。

上記のように冷酒にも区分があり、花や雪など日本ならではの情緒ある言葉も使われています。また「冷や=冷酒」と勘違いしていたという方も少なくないはず。この飲用温度を覚えておくと、外で日本酒を飲む機会にも役に立ちます。
温度によって引き出される香りや味わいの特徴は、その日本酒によって変わってきます。日本酒にこだわりがある飲み屋さんには「お燗番」や「燗つけ師」と呼ばれる人がいますが、彼らは日本酒ごとの特性を見極め、最適な風味を引き出すプロ、言わば「燗酒版のソムリエ」です。上表にある特徴のコメントはあくまでも目安ですが、家で燗酒を楽しむ時の指標になります。
家で実践!3つの作り方&おすすめの燗つけ道具
1. レンジでチンする、手軽な燗つけ

おいしく作るポイントは「器」。口がすぼまった徳利は、電子レンジだとお酒の温まり具合にムラができやすいので、「片口(かたくち)」と呼ばれる、お椀のような口が広い形状の酒器をできれば使いたいところです。徳利を使う場合は、温めた後に1分ほど静置して全体の温度をならすのがポイント。ただ温度自体は下がりますので、調整が必要です。
おすすめの片口酒器セット
熱伝導率が良い錫の酒器は、電子レンジには向きませんので、レンジで燗つけする時には、耐熱ガラスや焼き物の片口を使いましょう。片口 最大115-90mm 高90mm 容量270ml
盃 最大64mm 高47mm 容量70ml
分厚いガラスで重くて質感が有ります。片口に水を入れて注いでみましたが、水の切れも良く上手く注げます。
多少、注ぎ口から水が垂れますが!ぐいのみも分厚いので口当りが良いです。耐熱ガラスなのでレンジで燗をつける事も出来ます。片口は底は円形で上部は四角形で持ちやすく、置いた時の安定感も有ります。
出典: Amazon
2. やかんや鍋でじっくり。湯煎で基本の燗つけ

湯煎の方法にもいくつかあるのですが、まずは最もスタンダードな鍋(またはやかん)と徳利を使った方法をご紹介します。
1. 徳利の9分目あたりまでお酒を注ぎます。
2. 鍋(またはやかん)を用意して水を張り、そこにお酒の入った徳利を浸します。徳利の半分まで浸かるように水の量を調整します。
3. 徳利を一旦取り出し、鍋に火をかけ、沸騰したら火を止めます。
4. 鍋に徳利を浸します。この時、徳利の口にお猪口をかぶせるかのがおすすめ。飲む時の温度を保てますし、加温中に香りの成分を留めることができます。
5. 2分くらいしたら一度、お猪口を外して温度計(酒燗計)を徳利に刺し、温度を確認します。
6. 注いで飲む時に温度が少し下がるため、お好みの飲用温度+1〜2℃になるまで、5.を続けて完成。
この他にも、鍋で湯を沸かす前に徳利を浸してしまいそのまま中火にかける方法や、沸騰したら火を止めずに徳利を浸してしまう方法などもあります。また、深さのあるお猪口にお酒を注いでおき、熱湯を入れた大きな器の中にそのお猪口を入れてそのまま湯煎するなんていうやり方も。
いずれにせよ、温度計(酒燗計)は必須アイテム。お燗用に作られた酒燗計でなくても、調理用の温度計で問題ありません。
おすすめの温度計
デジタルで正確な料理用の温度計は、燗つけ以外にもパンづくりやいろいろな料理で使えて便利です。防滴仕様で、カバー付き、他にイエローやピンクなどのカラーバリエーションもある料理用温度計をひとつご紹介します。キッチングッズとしても魅力的です。キッチンを楽しくするポップなカラー。
・表示範囲:-50 〜 240 ℃
・最小目盛:0.1 ℃ (精度:±1℃(0〜100℃)それ以外±2℃)
・商品寸法:D 36mm × W 216mm × H 16mm (センサー部寸法:φ4×長さ117mm)
・商品質量:約33 g
アナログな調理温度計を使用していたのですが、割れてしまいお安かったのでこちらを購入しました。
アナログとは違い、パッと温度が表示されるのが良いですね!割れる心配もないので安心です。ローストビーフを作るのにも刺して温度を図れるので購入してよかったです。
出典: Amazon
3. 道具好きにおすすめの燗つけ
業務用の酒燗器は、独特の雰囲気があります。燗のつけ方は、もちろん湯煎式。本格的な錫製のちろりとセットで用意すれば、我が家が本格的な小料理屋に!? インテリアとしても効果抜群です。・付属品:酒温度計、ビンキャップ(一升瓶用注ぎ口) 製品
・電源:100V/450W
・温度:30度〜90度まで可変(空焚き防止付き)
・サイズ:幅260mm×奥行160mm×高260mm(タンク内寸)幅220mm×奥行110mm×高115mm
道具は道具でも、家電好きな方におすすめなのは、こんなアイテム。無段階温度調節ができるので、お好みの燗酒が作りやすく、陶磁器製の徳利部分は取り外し可能なので、丸ごと洗えてお手入れも簡単です。
・本体寸法:幅183×奥行155×高さ168mm
・重量:約1.1kg
・消費電力:250W
・容量:450ml(2.5合)
・温度調節機能:ぬる燗(約40℃)〜熱燗(約50℃) スイッチ機能:スライド式温度調節(無段階)
どんなタイプの日本酒が、燗酒向き?

おいしい燗酒を楽しむには、しっかりした味わいがありコク豊かな純米酒や、リーズナブルな普通酒がおすすめ。あとは、冷や(常温)で少し口に含み、しばらく口の中で転がしているうちに、香りや味わいがよりふくよかに感じられるお酒であれば、燗酒に向いていると言えます。
お燗向きの日本酒&絶品おつまみのペアリング3選
熱燗なら・・・
50度ほどの熱燗にするなら、ふくよかな生酛純米酒がおすすめ。たとえば、この「十旭日(じゅうじあさひ)生酛純米」は、熱燗にすることで、酸味も際立ち、うま味もふくらみます。
・精米歩合:70%
・日本酒度:+11
・酸度:1.9
・酵母無添加(蔵付酵母)
・アルコール度数:14-15%
・1,700円程度
熱燗のキリッとした辛口感とうま味の余韻。煮魚やおでんなど、熱燗と合う料理はたくさんありますが、ぜひ一度体験してほしいおすすめのおつまみと言えば「あん肝」です。こってりした脂分や、ともすると生臭く感じる香りがあん肝にはありますが、熱燗をクイっと口に含むとその印象がガラリと変化。キリッとした辛口感が味わいの輪郭を描き、うま味の相乗効果を発揮してくれます。

ぬる燗なら・・・
香りがグッと高まる、40度のぬる燗。幅広い純米酒や普通酒がおすすめですが、一度お試しいただきたいのが「作(ざく) 穂乃智 純米吟醸」。三重県鈴鹿市にある清水清三郎商店のスタンダードな純米酒です。冷やでももちろん楽しめますが、ぬる燗するとうま味がグッと引き立ちます。じんわり広がる香りと口当たりを楽しむぬる燗には、少し脂分もあって甘みがある料理が特に合います。おすすめしたいのは「鶏のつくね」。鶏肉のうま味とタレや卵黄の甘みやまろやかな味わいが、ぬる燗と心地よいハーモニーを奏でます。

人肌燗なら・・・
冷や(常温)よりも味に膨らみが出て、米の香りを感じると言われるのが、35度ほどの人肌燗。口に含むとほんのり温かいと感じる程度の燗酒です。加熱するほどフルーティーな吟醸香は飛んでいってしまいますが、人肌燗や30度ほどの日向燗であれば留まりますので、純米吟醸酒あたりもおすすめ。紀州の人気酒「紀土 KID 純米吟醸」はいかがでしょうか。華やかでフルーティーな吟醸香も少しふっくらした風味も楽しめる人肌燗は、野菜や白身魚の天ぷら、アクアパッツァやカルパッチョなどの料理もよく合います。晩酌であれば、シンプルな揚げ出し豆腐もおすすめです。

まとめ
高価な大吟醸酒ではなく、手頃な純米酒や普通酒のおいしさの幅を広げてくれるのが、熱燗をはじめとした燗酒の良いところ。基本を押さえていれば、自分なりの楽しみ方を発見できると思います。手軽に“レンチン”でもよし、酒器や道具にこだわるもよし。自由に、楽しく、燗酒を味わいましょう。紹介されたアイテム






