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「だし」と言えば料理の基本。うま味をたっぷり含んだ昆布だしは、味噌汁や鍋などどんな料理にも合う万能だしです。粉末や顆粒の「だしの素」も手軽ですが、昆布から丁寧に取るだしはやはり格別で、しかも添加物が入っていないから安心で安全。
だしの取り方は、覚えてしまえば簡単です。おいしいだしを取るために必要な昆布の種類、取り方の方法(水出し・湯出し)、さらにだしを使った離乳食の作り方やだしを取った後の“だしがら”の活用方法まで、昆布だしのいろはをご紹介します。
昆布だしの魅力
「だし」の種類として、まず思い浮かぶのはおそらく「昆布だし」と「かつおだし」ではないでしょうか。両方とも和食の基本となる代表的なだしですが、その特徴や栄養素の違いを知っていますか?
昆布だしは植物系のうま味成分【グルタミン酸】が多く含まれ、かつおだしには動物系のうま味成分【イノシン酸】が多く含まれます。栄養素もミネラル成分が豊富な昆布だしに比べ、かつおだしはビタミン類が豊富と異なります。
かつおだしは風味が強く、素材の風味を活かした調理方法と相性が良いのは昆布だし。素材の味が生かされるぶん、昆布だしによる味付けは薄めでも十分においしく、自然と減塩でき、体にやさしい料理に仕上がります。
だし向きの昆布 4選
1.真昆布は、 上品で穏やか
北海道函館沿岸(道南地区)で採れる昆布が、真昆布。その中でも南茅部町周辺で採れる「白口浜」という昆布は、天皇への献上品にもされる最高級品です。「白口浜」のほかに「本場折浜」「黒口浜」の3つは「道南三銘柄」と呼ばれ、昆布の中でも最高級品として扱われます。いずれも肉厚で幅が広く上品な甘みが特徴。穏やかな香りからは想像できないうま味が口の中に広がります。
清澄で上品なだしが取れるので、鍋物やお吸い物などだしそのものを味わうような料理に使うと良いでしょう。
出典:写真AC
2. 羅臼昆布は、濃厚な旨味とコク
出汁として、刻んで炊いて佃煮や塩昆布として。また、そのまま食べてもおやつになります。
・内容量:300g
・参考価格:3,200円前後
本物の羅臼昆布です。とても、美味しいです。満足しています。だしにも煮物にも最高ですね。
出典:Amazon
北海道の羅臼沿岸(知床半島の根室側沿岸)のみに生息する貴重な昆布。正式には「りしり系えながおにこんぶ」という名前で、厚みがあり香りもよく、やわらかな味わいです。黄色味がかった色合いで、だしを取るとにごるという特徴も。濃厚なうま味とコクのあるだしが取れます。
甘みも強い昆布なので、煮物や鍋物といった料理に適しています。
出典:写真AC
利尻昆布は、クセのないうま味
日常使用しているので、少し柔らかい仕上げであればより良いと思います。
・内容量:170g
・参考価格:1,900円前後
出典:Amazon
利尻はもちろん、道内の礼文・稚内・宗谷岬を経て、オホーツク海沿岸から網走に至る地域で採れる昆布。真昆布に比べると塩分が強くやや固めですが、甘みがありクセのないうま味が特徴です。
透明で澄んだだしが取れるので、京料理や会席料理に好んで使われます。お吸い物、鍋物、湯豆腐に最適です。浅漬けなどの漬物へ一緒に入れてもおいしく仕上がります。
日高昆布は、やわらかで用途もいろいろ
この値段で あの大容量で しかも風味、香り、味と文句なしです。これは良い買い物出来ました。良い出汁が取れます。必ず一晩 水につけて使用してください。とても美味しいお味噌汁ができます。これからもリピします。
・内容量 500g
・参考価格:2,000円前後
出典:Amazon
日高昆布はその名の通り、北海道三石郡三石町のある日高地方が主産地。植物の学名で言えば「三石昆布」ですが、日高地方で採られたものを主に「日高昆布」と呼んでいます。
ほかの昆布と比べ、濃い緑に黒みを帯びた見た目をしていて、やわらかくて煮えやすいので、だし以外にもおでんや昆布巻など用途の幅が広い「万能昆布」です。

基本の昆布だしの取り方
昆布だしの基本的な取り方は「水出し」と「湯出し(煮出し)」です。昆布の種類によってもだしの味や風味が異なるので、どの昆布でどの取り方をするのがベストか、好みの組み合わせを研究してみましょう。
水出しは、手軽で簡単
水出しという方法は、基本的に水に浸けるだけなので手軽で簡単。料理の時短にもなるのでおすすめです。また水出しの特徴として、すっきりとした味わいのだしを取ることができます。水出しの昆布だしの取り方は、水1リットルに対し昆布10gを浸け、冷蔵庫へ入れるだけ。ほかの食品のにおいが移らないよう蓋付きの容器か、なければラップをかけ、最低でも3時間から一晩以上浸けておきます。少し長めの時間で昆布を戻すと、よりすっきりとした味わいになります。
一度水出しした後の昆布にはまだうま味成分が残っているので、2回目は湯出し(煮出し)して、かつおと一緒に「合わせだし」にして使いましょう。
湯出し(煮出し)は、沸騰させないように注意して
湯出し(煮出し)で昆布だしを取ると、水出しよりも濃厚なうま味が引き出せます。昆布だしの取り方ですが、まずは火にかける前に、水1リットルに対し昆布10gを30分ほど浸けておきましょう。こうすると昆布のうま味をスムーズに引き出すことができます。
火加減は、中火より少し弱火で。水1リットルなら10分ほどかけて、沸騰する直前まで煮ていきます。このとき強火で沸騰させてしまうと、うま味の抽出ができなくなるので注意しましょう。また沸騰させてしまうと、えぐみが出やすくなるので、昆布は沸騰直前に取り出すのがコツです。料理にそのまま使っても良いですし、保存する場合は冷ましてから冷蔵庫で保存してください。
自宅で取るだしは市販品のように添加物が入っていないので、水出し・湯出し(煮出し)の日持ち(保存期間)は、ともに冷蔵で3~5日ほどです。
味噌汁や鍋をおいしくする!合わせだしの作り方
だしの魅力はそのうま味にあります。定番の昆布とかつおの「合わせだし」は、昆布のグルタミン酸とかつおぶしのイノシン酸が合わさることで、相乗効果を発揮し、うま味が凝縮されただしになります。ほかにも、いりこや干し椎茸からもうま味豊かなだしが取れますが、合わせだしは、昆布だけでだしを取るよりも味や風味によりコクが出るのが魅力です。昆布とかつおぶしの合わせだしの作り方
1. まずは昆布のだしを取る。
2. 鍋に昆布だしを入れて火にかける。
3. 沸々としてきたところに、削りぶし(昆布だし1リットルに対して約20g)を入れ、30秒ほど煮出したら火を止める。
4. 削りぶしが鍋の底に沈んだ後、だしをこす。
こうしてこしたものを「一番だし」と呼び、一番だしのだしがらに水を加え、追いがつおをして取るのが「二番だし」です。一番だしと二番だしは、それぞれどのように使うのがベストなのか。レシピや使い方が異なるので習得しておきましょう。
鍋やつゆには「一番だし」を
一番だしは昆布やかつおで取る「最初のだし」のことを指します。原料のうま味が一番出ている瞬間なので、素材の濃厚な味と芳醇な香りが特徴です。素材本来の旨味がダイレクトに伝わるので「だしが味の決め手となる」お吸い物や湯豆腐、水炊き、しゃぶしゃぶなどの鍋物といった澄んだスープのおいしさを味わう料理に向いています。
ほかにも、関東風のうどんつゆやそばつゆ(関西は昆布だしの一番だしを使います)、めんつゆなど幅広く使われます。

味噌汁や煮物には「二番だし」を
二番だしは、一番だしで取っただしがらを再利用して取る「二番目のだし」です。だしがらで取る二番目のだしなので、一番だしに比べると雑味がありますが、一番だしで抽出しきれなかったうま味を無駄なく引き出してくれるので、経済的なだけでなくしっかりとした濃い味のだしを楽しむことができます。
基本的には醤油・みりん・砂糖・味噌など調味料で味付けをする料理にぴったり。味噌汁や煮物(肉じゃが、煮魚、佃煮、ブリ大根など)、炊き込みごはんなどの料理に向いています。

無添加だから、離乳食にもぴったり
昆布は栄養効果が高く、しかも自宅で取っただしは無添加なので、離乳食にもぴったり。妊娠中の方は昆布に含まれるヨウ素の摂りすぎに注意しなくてはいけませんが、産後、離乳食が始まった赤ちゃんにはぜひ取り入れてあげましょう。
赤ちゃんの歯や骨の形成に良いカルシウムや食物繊維が豊富

昆布のうま味成分であるグルタミン酸は、母乳にも含まれる成分。赤ちゃんの慣れ親しんだ味で、しかも昆布には牛乳の6倍以上のカルシウムやさつまいもの8倍もの食物繊維が含まれているのです。赤ちゃんの歯や骨の形成に欠かせない栄養素が摂れるので、離乳食に取り入れたい食品の一つです。
昆布にはアレルギーを起こす成分が入っていないので赤ちゃんにも安心

離乳食における昆布だしの使い方&コツ
離乳食で昆布だしを使用する場合、おかゆなどを作るときの水やお湯と合せたり、水分の代用として適量取り入れる程度で十分です。毎回離乳食分に少量を計るのは手間なので、一回に使う分量を計っておき、製氷皿を使って冷凍しておけば時短になります。
だしを取った後の昆布も、おいしくリメイク
栄養成分が豊富な昆布。だしを取った後の昆布は捨てずに再利用して、おいしい料理やごはんのお供に変身させましょう!まずは定番の一品からお教えします。
昆布の佃煮

だしを取った後の昆布を食べやすい大きさの角切りにし、醤油大さじ1、みりん大さじ1、酢大さじ1を加えてフライパンで炒めます。調味料が全体に行き渡ったら、かつおぶしをふりかけて出来上がり。
昆布ふりかけ

だしを取った後の昆布を天日に干して乾燥させます。乾燥した昆布をハサミで細かく切り、さらにフードプロセッサーで粉砕してかつおぶし、ちりめんじゃこ、炒りごま、青海苔、松の実などを混ぜる。辛めにしたいときは七味唐辛子をプラスして、塩分が足りないときは塩を足しましょう。
昆布の味噌漬け

出典:PIXTA
だしを取った後の昆布は水分をよく拭き取ります。味噌に1週間ほど漬け込んで食べやすい大きさに切るだけ。うま味成分が凝縮され、さらに味噌の風味とコクが加わって、ごはんのおともに最適です。
いずれも、だしがらを使った簡単にできる昆布の再利用レシピです。保存食品として日持ちもしますし、だしを取った後に時間を見つけて作っておけば、常備菜としても活躍しますよ。もう市販の昆布だしは卒業!
市販の顆粒だしには添加物が含まれているものが多く、素材本来の味がわかりにくくなっています。味噌汁や煮物など毎日の食事で和食を食べることが多い日本人。せっかくなら無添加のだしを使って料理を安心安全に、さらにはおいしくいただくのが、気持ちの良い食事と言えるでしょう。食文化の豊かな日本にいるのだからこそ、「本当の昆布だし」を使ってワンランク上の食卓を目指しませんか。
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