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ユネスコの無形文化遺産に登録され世界から注目を集める日本の食文化である”和食”。その”和食”に欠かせないものが日本人の主食でもある「ご飯」です。現代では電気炊飯器で炊くのが当たり前になった”ご飯”ですが、一流の料亭やご飯の美味しさにこだわるお店では、今でも電気炊飯器を使わずにお鍋を使ってご飯を炊いています。実は鍋でご飯を炊くのは意外に簡単!しかもとってもおいしいので、ぜひ試してみてください。
鍋で炊くご飯はなぜおいしいの?
家電量販店の炊飯器売り場には、さまざまなタイプの炊飯器が並んでいて、なかには10万円を超えるような高級炊飯器もあります。そんな高級炊飯器が目指しているのは、羽釜を使ってかまどで炊いたご飯です。言い換えると釜や鍋を使った炊いたご飯が一番おいしいということです。では、なぜ鍋で炊いたご飯はおいしいのでしょうか。
ガスコンロなど直火でご飯を炊くと、ガスの火が鍋の底全体を包み込み、鍋は短時間で沸騰します。この沸騰により鍋の中に対流が置き、全体的にムラなく熱が伝わります。そして、強い火力で一気に炊き上げるので、高温の水分がお米の芯まで行きわたり、お米ひとつぶひとつぶが芯までふっくらと炊き上がるのです。ご飯は炊きあがった後には蒸らしが必要です。ご飯鍋として使われる土鍋や鋳物の鍋は、厚さがあり鍋がなかなか冷めないため蒸らしている時間にも、お米の芯までしっかりと熱が入り、デンプンが糊化することで粘りが出て、甘みと旨味を感じるご飯になります。
鍋で炊いた時の「おこげ」もうれしい!
また、鍋でご飯を炊くと電気炊飯器では味わうことができない「おこげ」に出会える確率も高いです。焦げすぎるのは困りますが、鍋の底にうっすらと「おこげ」ができると、ご飯全体が香ばしい香りになって、さらにおいしく感じますよ。ご飯鍋の選び方
加熱方法で選ぶ
ご飯鍋を選ぶ際には、まず自宅のコンロの熱源を確認します。ほとんどのご飯鍋はガスコンロに対応していますが、土鍋は直火専用でIHクッキングヒーターでは使用できないことがあります。自宅のキッチンはIHクッキングヒーターの場合は、対応している商品かどうか必ず確認する必要があります。中には電子レンジ対応のご飯鍋もあり、電子レンジで炊飯ができたり、そのまま温めなおすことができる商品もあります。
鍋の大きさ、炊けるご飯の量で選ぶ
鍋でご飯を炊いた場合、電気炊飯器のように保温しておくことができないので、できれば1度に食べきれる量だけ炊飯したいものです。大きな鍋で少ないご飯を炊くのは、水加減や火加減が難しいので、できれば炊飯したいご飯の量に合わせた大きさの鍋を使いましょう。1合のご飯で約お茶碗1杯分なので、家族の人数に合わせて何合炊きの鍋が良いか選びます。鍋の材質で選ぶ
鍋の材質によって、ご飯の炊きあがりや扱いやすさ、手入れのしやすさなどが異なります。土鍋
ご飯鍋の中で、最も人気が高いのが土鍋です。土鍋と金属製の鍋を比較すると火にかけた時、土鍋の方がゆっくりと温度が上昇していきます。ご飯のおいしさは、お米に含まれるアミラーゼという酵素がデンプンを分解して甘さやうまみの成分を作り出しているからで、このアミラーゼは40~50℃ぐらいの温度の時が最も働くといわれています。土鍋は形状に丸みがあり、火が当たる底の部分が厚く作られています。これにより鍋の中でお湯とお米が対流して、全体に熱が加わり加熱できるため、ムラなく炊き上がります。
また、火を止めた後も土鍋は熱さを長く保てるので、ご飯を蒸らしている時間にもじんわりと熱が入って、余分な水分を飛ばしてくれお米の一粒一粒までふっくらと炊き上がります。しかし、デメリットとしては鍋の重量が重いという事と、割れやすいということが欠点となります。
鋳物
鋳物製のご飯鍋は、土鍋に比べて熱伝導率が高いため、短時間でご飯を炊くことができます。なかでもホーロー鍋は、鉄やアルミニウムなど金属の表面にガラス製の釉薬が焼き付けられているので、洗いやすく、ニオイ残りや色移りなどしにくいので入れが簡単なのが特徴です。また、ホーロー鍋はフランス製のSTAUBやルクルーゼなど、おしゃれなデザインと色の鍋もあり、料理好きの女性に人気です。