まずは簡単に!焼酎の作り方について
焼酎は「蒸留酒(スピリッツ)」の1種。穀類や芋類で造った麹に水と酵母を加えてもろみを作り、そこに主原料を混ぜた後、蒸留し熟成させます。焼酎の原料として、最も一般的なのが「芋」「米」「麦」の3種類。芋焼酎には、糖度の高いさつまいもを使用。「芳醇な甘みのある香り」があるのが特徴です。使う芋の品種によって味も変化します。米焼酎の原料はシンプルに米。日本酒と通じる部分が多く、味わいも「さわやかでフルーティ」。米焼酎の発祥の地・熊本県産の米焼酎は「球磨焼酎(くましょうちゅう)」と呼ばれています。麦焼酎の原料は麦。麦は、ウイスキー、ジン、ウォッカなど世界的にも多く酒の原料として使用されているので、外国人にも比較的なじみやすい味。「香りにクセがなく飲みやすい」ため初心者にもおすすめです。
また、奄美の黒糖焼酎は黒糖、沖縄の泡盛はタイ米と黒麹が使用されています。本格焼酎に使われる麹(こうじ)は「黒麹」「白麹」「黄麹」の3種類。黒はパンチのあるどっしりとした味、白はすっきり軽快な味、日本酒にも使われる黄麹はフルーティな仕上がりが特徴です。
蒸留の仕方は「減圧蒸留」と「常圧蒸留」の2種類
蒸留方法には「減圧蒸留」と「常圧蒸留」の2種類があり、「減圧蒸留」は気圧を下げることで、水やアルコールの沸点を下げ、より低い温度(40~50度くらい)で蒸留を可能にした新しい技術。減圧蒸留すると、クセや雑味が減り、いわゆる飲みやすいタイプの焼酎に。『魔王』『海』『二階堂』などはこのタイプです。「常圧蒸留」は多くの芋焼酎やウイスキーなどに採用される伝統的な蒸留方法。常圧蒸留された焼酎には、原料の味わいや旨みがしっかり残り、骨太で飲みごたえのある味わい、いわゆる「クセがある焼酎」になります。『村尾』『黒/白/赤霧島』『赤兎馬』『兼八』などはこちらのタイプです。
焼酎でよく聞く「甲類」「乙類」って?
焼酎でよく聞く「甲類」「乙類」も蒸留の仕方による違い。「焼酎甲類」は「連続式蒸留焼酎」とも言われ、文字どおり連続式蒸留機で蒸留したアルコール度数が36度未満のもの。無色透明でピュアなクセのない味わいが特徴で、酎ハイやサワー、カクテルなどに多く使われます。一方、「焼酎乙類」は昔ながらの単式蒸留機で蒸留した度数が45度以下の「単式蒸留焼酎」。シンプルな蒸留構造のため原料の香味成分が溶け込みやすく、特有の芳香と風味が残ります。新式の「連続式蒸留焼酎」に対し、「単式蒸留焼酎」は伝統的な製法で作られることから「本格焼酎」と呼ばれるようになりました。本格焼酎(乙類)の飲み方別おすすめ焼酎が知りたい方は、こちらの記事もどうぞ!
これであなたも焼酎マスター!気になる「焼酎ワード3選」
この言葉を知って入れば、焼酎初心者から脱却できそうな「焼酎用語」を教えていただきました。お気に入りの焼酎を飲みながら、カウンターのお隣さんに話しかけてみてはいかがでしょうか。1. 原酒(げんしゅ)
「原酒」は、もろみを蒸留して製成後、加水調製をせずに旨味成分を抽出したままの状態で、割り水を行っていない酒のこと(アルコール度数40度前後)2. 無濾過(むろか)
「無濾過 」は、蒸留後、米麹由来の油成分等が多く含まれた状態の原酒を濾過しない、あるいは表面に浮いた油を手作業で軽くすくい取る程度で製品化したもの。「無濾過(むろか) 」だと原料芋と麹の風味が生きた、濃厚な味わいに仕上がります。3. ハナタレ
ファンの間で人気の「ハナタレ」は、蒸留器のアルコールが冷却されて抽出される際の最初の原酒(うま味成分が凝縮され、アルコール度数は60度以上)を、割り水して45度以下に調整したもの。「ハナタレ」はアルコール度数が高いため、冷凍庫でボトルごと保存するとトロリとした一層濃厚なコクと香りを楽しめます。実は飲みやすい焼酎。好みの味を見つけてみて
いかがでしたか。焼酎の多様性は、原材料や麹、その醸造、蒸留過程から生まれていたのです。その違いと味の傾向がわかると、ますます焼酎の奥深さにハマってしまいます。大隈さんいわく、「最近はツウ好みのより個性的な焼酎、反対に焼酎が苦手な女性にもおすすめの、飲みやすくてパッケージもかわいい焼酎が両方向に進化中」とのこと。知らないと損する焼酎の魅力。ぜひ、いろいろ試して、自分好みの味を見つけましょう。焼酎バー土竜(もぐら)について
最後に、今回えりすぐりの焼酎を紹介してくれた大隈さんの店を紹介。福岡に来る際は、ここでしか飲めない焼酎に会いにぜひ立ち寄ってみてください。▲もぐらの入り口。レトロ感がたまりません。
▲タイムスリップしたかのような雰囲気で、焼酎がおいしく飲めそう。
「焼酎バー 土竜(もぐら)」
センスのいい個性的な飲食店が多い福岡市白金にある焼酎バー。民家をそのまま利用した昭和レトロな店内には、随時500種類もの焼酎がずらり。人気の銘柄から、ここでしか味わえない幻の焼酎まで、そのほとんどが500円あれば飲める(一部プラス料金あり)。また、あごだしのもつ鍋や馬刺しなど、焼酎に合う九州ならではのおつまみや食事メニューも充実。おすすめは「森伊蔵」「村尾」「魔王」などの超レア焼酎や、大隈さんおすすめの飲みくらべセット(1000円~)。鹿児島、宮崎から買い付けてきた地域限定販売の焼酎も楽しめる。その評判を聞きつけて、遠方から訪れる焼酎ファンは多い。
住所:福岡県福岡市中央区白金1-11-25 TEL:092-526-5791(18:00~)
営業時間:【月~木】18:30~翌2:00(L.O.翌1:30)【金・土・祝前日】18:30~翌3:00(L.O.翌2:30)
定休日:不定
HP:「焼酎バー 土竜(もぐら)」
焼酎はその保存方法、飲み方、さらには飲む際の酒器でも味わいが変わるので、サーバーにこだわるのも焼酎をよりおいしく飲む秘訣。気になる方はこちらの記事もチェックしてみてくださいね。