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【新政】No.6に亜麻猫!? 日本酒の新潮流が生まれる秋田の蔵元


自然の力を利用した伝統的な醸造製法「生酛造り(きもとづくり)」を採用することで、独特の深い旨みを引き出し、甘味と酸味が程よく感じられるフレッシュな飲み口の「新政」。どちらかと言えば薄味で、香りや味の主張はあまり強くないにも関わらず「まるで白ワイン」と例えられるその飲み口は、他の酒では味わえない独特さがあります。

出典:写真AC

変革前の新政酒造は、地方大手の蔵元というイメージそのままに突き進み、「日本酒といえば淡麗辛口」という既成概念を築き上げた酒蔵と言えたでしょう。ですが、米の味を全面に出した地元愛溢れる地酒をつくりあげ、そのイメージを自ら打ち破り酒造界に革命を起こしました。

現在の「新政」は、これまで日本酒を敬遠していた人やワイン愛好家にも受け入れられ、今着実にファン層を広げています。


「新政」のこだわり

出典:写真AC

生まれ変わった「新政」のこだわりは徹底しています。まず、全銘柄で秋田県産米のみを使用。酒づくりに欠かせない酵母は、新政酒蔵で発見・抽出された「きょうかい酵母6号」を使った、まさにメイドイン秋田と呼ぶべき正統派の純米酒。醸造方法には「生酛造り(きもとづくり)」という酒母に天然の乳酸菌を活用する伝統手法を採用し、コク深く濃醇な味わいを実現しました。

 

添加物についても徹底されていて、ラベル記載義務のない醸造用酸類や除酸剤などは「醸造の純粋性を尊ぶため」に一切使用されていません。開栓後の酸化にまで配慮し、通常は一升瓶(1800ml)販売が一般的であるのに対し、主力銘柄は四合瓶(720ml)のみで販売するなど、知れば知るほど酒づくりへのこだわりと姿勢が痛いくらいに伝わってきます。


変革者、佐藤祐輔

出典:Pixabay

 「新政」を「全銘柄が秋田県産米を使用した生酛造り純米酒」へと大胆にチェンジさせたのは、8代目当主であり新政酒造の現社長である佐藤祐輔さん。

 

実は東大卒のエリートで元フリーライターという、杜氏としてはちょっと特殊な経歴の持ち主。2007年に31歳で酒蔵に入るまではいち消費者として日本酒に触れてきたこともあり「少しくらいまずくてもストーリー性のある酒の方が魅力的」という独自の感覚で、酒づくりに取り組んだそう。手づくりであること、そして自分の美学にこだわりこれまでの 「新政」とは明らかに違う日本酒を世に送り出した佐藤さん。蔵元の長男なのに日本酒のにおいを嗅ぐのも嫌だったという佐藤さんがつくる日本酒だからこそ、普段酒を飲まない人や日本酒が苦手な人の心をつかむ酒づくりができるのでしょう。


「6号酵母」と「No.6」シリーズ


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番匠郁
番匠郁

ライター時々料理人

道産子と九州男児のハーフ。関西弁、大分弁、金沢弁を話すトライリンガル。
アーティスト山村幸則氏の作品制作に携わったことをきっかけに、働き方や住む場所に捉われない生き方を模索するようになる。
コミュニケーションアートを通してまちづくりに関わるなか、「人の集まる場所には食がある」ことに気がつき、以来、食を媒介した街・人・アートの仲立ちプロジェクトを幅広く展開。
役者として舞台に立ちながら開始した劇場ケータリング”劇場メシ”では、演者やスタッフを食で支える裏方の裏方として活動。生産現場にも足を運び、土を耕し自ら収穫して料理をつくる体育会系ライター。
動画作成チーム”ButterToast”ではシナリオも担当。

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